レポート[report]

2018.
7.30

2018年5大事務所のパートナートラック -2-

2018年5大事務所のパートナートラック -2-

3.2018年度5大事務所の新パートナー:パートナーの多数選任と法科大学院世代パートナーの出現

 5大事務所の今年度新パートナー総数は、62名となり、2016年35名、2017年51名に引き続き増加し続けています。各事務所それぞれパートナー昇格決定には個別的事情があり新パートナーの数は各年大きくぶれることはありますが、ここ3年の5大事務所の新パートナー総数の増加は、新人弁護士採用数の増加とともに、5大各事務所とも業績の好調さがうかがえます。



 今年度、新パートナーの所属期でもっとも多かったのは、法科大学院制度の下に生まれた60期でした。2017年度で新任パートナーを最も多数輩出したのは58期でしたから一挙に60期に中心が移ったことは世代交代のスピードを感じさせられます。



 一方、新パートナーのジェンダー格差の解消は遅々として進んでいないようです。特に、今年度女性を新しくパートナーに選任したのは、西村あさひ1名と森・濱田松本2名の2事務所のみ、全体でも3名であり、他の3事務所はひとりも女性をパートナーに選任しませんでした。これまで5大事務所のパートナー選任においてジェンダー格差が著しいことを指摘してきましたが、改善される兆候は見えません。



 また、新パートナーの学歴については相変わらず、新パートナーの出身大学の約9割は東大、京大と早慶出身者で占められています。


2018年度新任パートナーの修習期別人数





2018年度新任パートナーのジェンダー別人数・割合







2018年度新任パートナーの出身大学別割合




4.2018年の5大事務所のレバレッジ・レシオと経年推移

 今年度の5大事務所のレバレッジ・レシオは西村あさひが最も高く2.95でしたが、初めて3.00を下回りました。最も低いのがアンダーソン・毛利・友常の1.92で昨年より若干上昇しましたが、全ての5大事務所のレバレッジ・レシオが3.00以下となりました。前述のように、最近5大事務所はパ―トナー登用を積極的に行ってきており、このパートナー数の増加がレバレッジ・レシオの低下傾向を表しています。



 パートナー間で事務所の収益を分配するため、アソシエイトの労力を利用し、効率的に収益を上げる組織構造のためレバレッジ・レシオの高い事務所は各パートナーの事務所収益の取り分は大きくなると言われています。しかし、事務所の業務内容によって影響が大きいので、レバレッジ・レシオの高低についてはどちらが優れているか一般論では言い難いところがあります。



 レバレッジ・レシオが比較的低ければ、アソシエイト間の競争は少なく、パートナーになれる確率は上がると想定されます。また、アソシエイトがパートナーに訓練、指導を受ける機会が多くなるともいわれています。一方、高レバレッジ・レシオの事務所はパートナー登用への狭き門のため競争的で、優勝劣敗となり、事務所運営は効率的で事務所間の競争力の観点から優勢になるとも言われています。



 いずれにせよレバレッジ・レシオは、明らかにその事務所のカルチャーに影響を与えている一因であることは確かですが、比較的低いレバレッジ・レシオが我が国のリーガルマーケットで5大事務所が寡占化することの反映で、事務所間が非競争的になり、パートナー数が増えているのであれば、競争的価格で高い質のリーガルサービスを求める企業クライアントにとり長期的には好ましいことではないでしょう。


5大事務所のパートナー及びアソシエイトの人数とレバレッジ・レシオ






5大事務所のレバレッジ・レシオ経年推移






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1. 本調査は、2018年6月時点の各事務所のホームページの公表データ、日弁連登録情報をもとに作成しています。
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