2018.
7.11

70期司法修習終了者の就職状況調査~6月時点~

70期司法修習終了者の就職状況調査~6月時点~

司法修習終了者大幅減少時代の就職状況

 70期司法修習終了者の6月末時点の就職動向調査を行いました。司法修習終了から6ヶ月が経過し、この数字が70期司法修習終了者の就職状況を最終的に表しているものとみなせるでしょう。参考として、70期司法修習終了者(2018年4月末時点)69期司法修習終了者(2017年6月末時点)の数値も掲載しました。


 今回の調査では、司法修習終了者が初めて1,500名台となり、就職状況にどのような影響が出たのか注目されましたが、弁護士登録者数は、4月末時点と変わらず1,394名、司法修習終了者の全体に占める割合で見ると89.2%であり、司法修習終了者が1,700人台だった69期の89.4%とほとんど同じになりました。今回の70期司法修習終了者の就職状況の調査結果からみれば、司法試験合格者数を大幅に減らした結果は、組織内弁護士の微増を除けば、全体の縮小均衡を生んだだけということのようです。


 弁護士未登録者は、4月末時点と変わらず37名であり、司法修習終了者の全体に占める割合で2.4%となっています。69期の弁護士未登録者は38名、司法修習終了者の全体に占める割合は2.2%であり、例年とあまり変わらない割合となりました。


 弁護士登録者の内訳は、法律事務所所属の弁護士が4月末時点の1,283名(司法修習終了者の全体に占める割合82.1%)から11名減少し、1,272名(司法修習終了者の全体に占める割合81.4%)となりました。69期までは、司法修習終了後から6月末時点まで事務所所属弁護士数は増加し続けていましたが、70期では初めて、4月末時点から6月末時点で減少する結果となりました。わずか半年足らずの短い間ですが、この間に転職者が出た結果と考えられます。


 組織内弁護士は、若干増加して87名、司法修習終了者の全体に占める割合は5.6%になりました。司法修習終了者全体が69期に比して、約200名減少する中、組織内弁護士は人数も割合も昨年を上回る結果となりました。即独推定者は、微増して35名(2.2%)になりました。


■ 70期司法修習終了者の就職状況
70期
(2018年6月)
70期
(2018年4月)
69期
(2017年6月)
司法試験合格者 1,583 1,850
司法修習終了者 1,563 1,762
新規法曹有資格者 1,563 1,762
判事補採用者 65
(4.2%)
78
(4.4%)
検事採用者 67
(4.3%)
70
(4.0%)
弁護士登録者 1,394
(89.2%)
1,394
(89.2%)
1,576
(89.4%)
弁護士未登録者 37
(2.4%)
37
(2.4%)
38
(2.2%)
弁護士登録者の内訳 1,394 1,394 1,576
法律事務所所属
(即独推定者を除く)
1,272
(81.4%)
1,283
(82.1%)
1,451
(82.3%)
組織内弁護士
(企業・公的機関・その他団体)
87
(5.6%)
79
(5.1%)
82
(4.7%)
即独推定者 35
(2.2%)
32
(2.0%)
43
(2.4%)
(※ ( )内の%は新規法曹資格者全体に対する割合)

弁護士会別の採用状況は東京一極集中が加速

 70期と69期の6月末時点の弁護士会別登録状況は以下の通りです。東京三会の採用人数を見てみると、69期が計784人(49.8%)で新人弁護士の約2人に1人が東京で就職しているという状況でしたが、70期はその傾向がますます強まり、計760人(54.5%)となりました。5大事務所を筆頭に大手渉外事務所の採用拡大の影響で、東京への一極集中がますます進んでいるようです。


 一方、地方は東京一極集中の影響もあり、全体として採用数を落としていますが、特に兵庫や広島などの主要都市でも採用割合が大きく減少しているのは注目すべき点でしょう。また、70期は岩手、長野県、旭川、秋田、高知が採用人数が0人となっており、特に高知はこれで4年連続で新人弁護士の採用人数0人となります。


■ 弁護士会別採用人数
弁護士会 70期(2018年6月) 69期(2017年6月)
採用人数
( )内は女性の人数
割合 採用人数
( )内は女性の人数
割合
東京296 (66)21.2%345 (69)21.9%
第一東京236 (60)16.9%211 (49)13.4%
第二東京228 (48)16.4%228 (44)14.5%
大阪145 (35)10.4%174 (34)11.0%
愛知県72 (9)5.2%92 (22)5.8%
神奈川県57 (14)4.1%69 (11)4.4%
福岡県47 (9)3.4%47 (9)3.0%
埼玉35 (6)2.5%27 (5)1.7%
千葉県29 (5)2.1%32 (8)2.0%
札幌28 (9)2.0%31 (2)2.0%
京都24 (7)1.7%27 (5)1.7%
兵庫県24 (3)1.7%37 (4)2.3%
仙台15 (3)1.1%13 (2)0.8%
静岡県15 (2)1.1%19 (4)1.2%
群馬13 (5)0.9%14 (2)0.9%
茨城県12 (3)0.9%14 (2)0.9%
岡山12 (5)0.9%16 (2)1.0%
広島11 (0)0.8%23 (7)1.5%
滋賀8 (3)0.6%2 (0)0.1%
金沢6 (1)0.4%6 (1)0.4%
栃木県6 (3)0.4%11 (1)0.7%
熊本県6 (1)0.4%7 (1)0.4%
宮崎県5 (0)0.4%7 (1)0.4%
鹿児島県5 (1)0.4%11 (3)0.7%
岐阜県5 (1)0.4%2 (1)0.1%
新潟県5 (0)0.4%8 (2)0.5%
佐賀県4 (0)0.3%4 (0)0.3%
沖縄4 (0)0.3%12 (4)0.8%
福島県4 (0)0.3%10 (0)0.6%
三重4 (2)0.3%8 (1)0.5%
香川県4 (1)0.3%4 (3)0.3%
愛媛3 (1)0.2%3 (0)0.2%
富山県3 (1)0.2%3 (0)0.2%
奈良3 (0)0.2%7 (0)0.4%
山口県3 (0)0.2%8 (1)0.5%
長崎県2 (0)0.1%4 (1)0.3%
大分県2 (2)0.1%5 (1)0.3%
福井2 (0)0.1%2 (0)0.1%
鳥取県2 (1)0.1%0 (0)0.0%
山梨県2 (0)0.1%1 (0)0.1%
和歌山1 (1)0.1%2 (1)0.1%
徳島1 (0)0.1%4 (0)0.3%
山形県1 (0)0.1%4 (0)0.3%
青森県1 (0)0.1%4 (0)0.3%
釧路1 (0)0.1%0 (0)0.0%
島根県1 (0)0.1%2 (1)0.1%
函館1 (0)0.1%0 (0)0.0%
岩手0 (0)0.0%2 (1)0.1%
長野県0 (0)0.0%8 (2)0.5%
旭川0 (0)0.0%3 (1)0.2%
秋田0 (0)0.0%3 (0)0.2%
高知0 (0)0.0%0 (0)0.0%
総計1,394 (308)100.0%1,576 (308)100.0%
(※ 70期割合の矢印は69期割合に対する増減)

大規模事務所の拡大、小規模事務所の減少進む

 事務所規模別の採用状況を見てみると、司法修習終了者採用の所属弁護士9名以下の事務所数は、69期では計760(78.9%)だったのに対し、70期では計606(74.6%)に減少しています。司法修習終了者採用の所属弁護士9名以下の事務所数は、採用人数でも69期が計848人(56.7%)に対し、70期は計670人(51.3%)と割合を落としています。


 これに対し、司法修習終了者採用の所属弁護士10名以上の事務所を見ると、事務所数は69期が203(21.1%)、70期は206(25.3%)に増加しました。また、採用人数は全体の人数が減少する中で、司法修習終了者採用の所属弁護士10名以上の事務所は、69期の採用人数が計646人(43.2%)であるのに対し、70期は計637人(48.7%)と、同等の人数を保持し構成比を大きく伸ばしています。


 既に、別報していますが、特に5大事務所はこのうち188名を占めており、法律事務所就職者の約15%となり司法修習終了者採用の大きな受け皿になりつつあります。規模の大きな法律事務所が採用を拡大し、司法修習終了者の最初の就職先として定着する一方、小規模事務所の採用は縮小し続けているようです。


■ 70期事務所規模別の採用分布割合 (2018年6月)
事務所規模 事務所数 事務所数割合 採用人数
( )内は女性の人数
採用人数割合
50名以上 19 2.3% 288 (61) 22.0%
10~49名 187 23.0% 349 (82) 26.7%
3~9名 479 59.0% 542 (111) 41.5%
2名以下 127 15.6% 128 (27) 9.8%
総計 812 100.0% 1,307 (281) 100.0%
■ 69期事務所規模別の採用分布割合(2017年6月)
事務所規模 事務所数 事務所数割合 採用人数
( )内は女性の人数
採用人数割合
50名以上 18 1.9% 302 (48) 20.2%
10~49名 185 19.2% 344 (62) 23.0%
3~9名 569 59.1% 655 (126) 43.8%
2名以下 191 19.8% 193 (40) 12.9%
総計 963 100.0% 1,494 (276) 100.0%
(※ 即独推定者含む)


組織内弁護士採用は昨69期を上回る結果に

 70期司法修習終了者の企業及びその他団体採用は87名で、司法修習終了者総数が昨年比で減少する中で昨年を上回りました。2018年4月時点の「ジュリナビ」運営会社株式会社ジュリスティックスの調査によれば、組織内弁護士総数は、中途採用を中心にして2,267名と昨年比1割増と継続的に増加しています。70期司法修習終了者の組織内弁護士採用数の増加は、ビジネス法務領域における弁護士ニーズの伸びが高い状況にあることを表していると言えます。


 70期から司法試験合格者数の抑制に舵を切ったわけですが、こうしたビジネス法務領域を中心とする組織内弁護士に対する需要に法曹界は応えていけるのか今後問われることになるでしょう。


 また、都道府県別で見てみると、組織内弁護士の約7割が東京で採用されており、次いで大阪や京都など、大企業の本社のある地域で採用されています。また、岡山など地方の中でも新人弁護士の採用に積極的な企業が存在しています。70期の組織内弁護士うち女性の占める割合は、31%であり、司法修習終了者全体に占める割合23%と比べ、組織内弁護士が女性法曹資格者の職域として人気の高いことがわかります。


■ 70期採用企業・公的機関・その他団体一覧
法人名 都道府県 採用人数
ヤフー株式会社東京都5
税理士法人山田&パートナーズ東京都4
株式会社NTTドコモ東京都2
株式会社ストライプインターナショナル岡山県2
株式会社三井住友銀行東京都2
株式会社三菱UFJ銀行東京都2
三菱重工業株式会社東京都2
住友電気工業株式会社大阪府2
全国農業協同組合連合会東京都2
双日株式会社東京都2
大塚製薬株式会社東京都2
東京電力エナジーパートナー株式会社東京都2
KPMGコンサルティング株式会社東京都1
LINE株式会社東京都1
MCフードスペシャリティーズ株式会社東京都1
NISSHA株式会社京都府1
アストモスエネルギー株式会社東京都1
アルコニックス株式会社東京都1
エーザイ株式会社東京都1
グンゼ株式会社大阪府1
サムコ株式会社京都府1
シダックス株式会社東京都1
シャープ株式会社大阪府1
タキロンシーアイ株式会社東京都1
パナソニック株式会社大阪府1
ヤマハ発動機株式会社静岡県1
伊藤忠商事株式会社東京都1
医療法人社団さくら会東京都1
岡谷鋼機株式会社愛知県1
株式会社FastFitnessJapan東京都1
株式会社FPG東京都1
株式会社FRONTEO東京都1
株式会社SCREENホールディングス京都府1
株式会社TID東京都1
株式会社アイスタイル東京都1
株式会社アイレップ東京都1
株式会社オロ東京都1
株式会社グリーンハウス東京都1
株式会社クレディセゾン東京都1
株式会社コナミスポーツクラブ東京都1
株式会社コナミデジタルエンタテインメント東京都1
株式会社トライテック新潟県1
株式会社ビジネスパートナー東京都1
株式会社ベッセル広島県1
株式会社鴻池組大阪府1
株式会社商船三井東京都1
株式会社船井総合研究所東京都1
株式会社長栄京都府1
株式会社堀場製作所京都府1
関西電力株式会社大阪府1
京都大学京都府1
工藤一郎国際特許事務所東京都1
笹山会計事務所北海道1
三井住友海上火災保険株式会社東京都1
三井住友信託銀行株式会社大阪府1
三井物産株式会社東京都1
三菱UFJ信託銀行株式会社東京都1
三菱商事株式会社東京都1
宗教法人顕正会埼玉県1
住友化学株式会社大阪府1
住友生命保険相互会社大阪府1
積水化学工業株式会社大阪府1
前田建設工業株式会社東京都1
朝日生命保険相互会社東京都1
東海旅客鉄道株式会社東京都1
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社東京都1
日本新薬株式会社京都府1
柏市役所千葉県1
豊田通商株式会社東京都1
両備経営サポートカンパニー岡山県1
総計87

■ 70期採用者の都道府県別割合
都道府県 採用人数
( )内は女性の人数
70期の組織内弁護士
全体に対する割合
東京都59 (20)67.8%
大阪府11 (2)12.6%
京都府7 (2)8.0%
岡山県3 (1)3.4%
静岡県1 (0)1.1%
愛知県1 (1)1.1%
新潟県1 (0)1.1%
広島県1 (0)1.1%
北海道1 (1)1.1%
埼玉県1 (0)1.1%
千葉県1 (0)1.1%
総計87 (27)100.0%

■ 70期採用者の業種別割合



事務所に就職するも即独する人が増加傾向

 70期司法修習終了者のうち即独推定者は、1月時点の20名(1.3%)から35名(2.2%)に増加しました。例年は、時間の経過とともに即独推定者は減る傾向にありますが、今回調査の増加は一旦法律事務所に就職したものの退職し、即独になったものと推定されます。


■ 70期即独推定者
即独推定者 1月時点
( )内は女性の人数
6月時点
( )内は女性の人数
1月時点との差分
( )内は女性の人数
事務所名あり 9 (0) 23 (5) +14 (+5)
事務所名なし 11 (1) 12 (2) +1 (+1)
総計 20 (1) 35 (7) +15 (+6)


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出典・免責事項・引用・転載等について
1. 本調査は、各年時点の官報や日本弁護士連合会等の公表データをもとに作成しています。また、69期の司法修習生採用数については、過去のジュリナビ運営事務局調べ 「司法修習生進路調査」より引用しています。
2. 本調査はできるだけ正確性を保つよう合理的な努力をしましたが、所属弁護士数は日々変動し、かつ異動情報がタイムリーに日本弁護士連合会に提供されるとは限らないため、調査結果についてジュリスティックスとして完全性、正確性を保証するものではありません。
3. 本調査に記載されたコメントはジュリスティックス自身の見解であり、法科大学院協会や各法科大学院の見解とは一切関係はありません。
4. 本調査に記載された調査、編集、分析された内容についてその一部又は全部につきジュリスティックスに無断で転載、掲載することを禁止します。