レポート[report]

2017.
11.15

ジュリスティックス通信 2017.11

ジュリスティックス通信 2017.11

■INDEX ■

[1] 司法試験予備試験の受験状況
[2] 「社内弁護士・法務人材採用セミナー/個別採用相談会」のご案内

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[1] 司法試験予備試験の受験状況

増え続ける予備試験受験者と司法試験合格者

 先週11月9日(木)に今年度司法試験予備試験の最終合格発表があり、今年の合格者は過去最多の444名、合格率は初めて4%を超えました。また、過去最年少合格者として、18歳の高校生が出たことで話題になっています。


 元々は、旧司法試験制度の終了とともに、経済的事情等の理由で法科大学院に進学しない人を対象として設けられた予備試験制度ですが、近年ではすっかり予備試験=司法試験受験のための法科大学院のバイパスという認識と、毎年の司法試験合格者の上位を予備試験経由の受験者が占めている状況から、予備試験合格者=優秀層という見方が定着しました。


 法曹を目指す学生達にとっては、法科大学院進学の経済的・時間的負担を回避できることから、司法試験合格への近道と見なされる傾向が強くなっています。年々、受験者数は増加し、今では予備試験の受験志願者数が法科大学院の志願者数を上回る状態となってしまっています。


 それに比例して、予備試験の合格者数、司法試験合格者に占める予備試験経由者の割合、合格率も右肩上がりに上昇しており、今年の司法試験合格者においてはおよそ5人に1人(18.8%)が予備試験経由での合格者となりました。


■ 予備試験の受験状況の推移

受験者数合格者数合格率
2011年度6,4771161.8%
2012年度7,1832193.0%
2013年度9,2243513.8%
2014年度10,3473563.4%
2015年度10,3343943.8%
2016年度10,4424053.9%
2017年度10,7434444.1%
累計64,7502,2853.5%

■ 男女別の合格者数と割合

男性女性合計
2011年度103 (88.8%)13 (11.2%)116
2012年度197 (90.0%)22 (10.0%)219
2013年度307 (87.5%)44 (12.5%)351
2014年度319 (89.6%)37 (10.4%)356
2015年度354 (89.8%)40 (10.2%)394
2016年度334 (82.5%)71 (17.5%)405
2017年度363 (81.8%)81 (18.2%)444
累計1,977 (86.5%)308 (13.5%)2,285

■ 年代別の合格者数と割合

19歳以下20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳40歳以上合計
2011年度0 (0.0%)40 (34.5%)8 (6.9%)33 (28.4%)16 (13.8%)19 (16.4%)116
2012年度1 (0.5%)86 (39.3%)39 (17.8%)30 (13.7%)26 (11.9%)37 (16.9%)219
2013年度0 (0.0%)207 (59.0%)42 (12.0%)33 (9.4%)38 (10.8%)31 (8.8%)351
2014年度0 (0.0%)204 (57.3%)73 (20.5%)25 (7.0%)22 (6.2%)32 (9.0%)356
2015年度0 (0.0%)238 (60.4%)69 (17.5%)26 (6.6%)20 (5.1%)41 (10.4%)394
2016年度0 (0.0%)283 (69.9%)52 (12.8%)22 (5.4%)19 (4.7%)29 (7.2%)405
2017年度2 (0.5%)288 (64.9%)54 (12.2%)32 (7.2%)27 (6.1%)41 (9.2%)444
累計3 (0.1%)1,346 (58.9%)337 (14.7%)201 (8.8%)168 (7.4%)230 (10.1%)2,285

■ 職業別の合格者数と割合

大学生法科大学院生無職会社員公務員その他合計
2011年度40 (34.5%)8 (6.9%)32 (27.6%)12 (10.3%)13 (11.2%)11 (9.5%)116
2012年度69 (31.5%)61 (27.9%)41 (18.7%)15 (6.8%)18 (8.2%)15 (6.8%)219
2013年度107 (30.5%)162 (46.2%)36 (10.3%)14 (4.0%)10 (2.8%)19 (5.4%)351
2014年度114 (32.0%)165 (46.3%)34 (9.6%)12 (3.4%)17 (4.8%)14 (3.9%)356
2015年度156 (39.6%)137 (34.8%)35 (8.9%)28 (7.1%)14 (3.6%)24 (6.1%)394
2016年度178 (44.0%)153 (37.8%)31 (7.7%)21 (5.2%)12 (3.0%)10 (2.5%)405
2017年度214 (48.2%)107 (24.1%)66 (14.9%)26 (5.9%)7 (1.6%)24 (5.4%)444
累計878 (38.4%)793 (34.7%)275 (12.0%)128 (5.6%)91 (4.0%)117 (5.1%)2,285

■ 予備試験合格者数と予備試験経由の司法試験合格者数の推移と割合

前年度予備試験合格者数当年予備試験経由
司法試験合格者
予備試験経由者の
司法試験合格率
2012年度1165850.0%
2013年度21912054.8%
2014年度35116346.4%
2015年度35618652.2%
2016年度39423559.6%
2017年度40529071.6%

■ 司法試験合格者数と予備試験経由合格者数の推移と割合

司法試験合格者数法科大学院修了生
合格者数
予備試験経由の
司法試験合格者数
2012年度2,1022,044 (97.2%)58 (2.8%)
2013年度2,0491,929 (94.1%)120 (5.9%)
2014年度1,8101,647 (91.0%)163 (9.0%)
2015年度1,8501,664 (89.9%)186 (10.1%)
2016年度1,5831,348 (85.2%)235 (14.8%)
2017年度1,5431,253 (81.2%)290 (18.8%)

 *参照:法務省HP


予備試験制度の課題と問題点

■ 司法修習終了者の就業状況の推移

 予備試験制度の課題と問題点については、内閣官房や日弁連から様々な資料や意見が公開されており、また、現在も文部科学省の法科大学院等特別委員会におかれても、今後の法科大学院の在り方含め、法曹養成制度改革について引き続き議論が為されております。


*参考:内閣官房 法曹養成制度改革顧問会議HP

(以下一部資料)

予備試験のあり方に関する意見書 法科大学院協会

法科大学院教育と司法試験予備試験との関係について(委員意見の整理案)

予備試験について(論点整理)

司法試験予備試験に関する学生からの意見のまとめ(概要)

司法試験予備試験をめぐる諸問題 – 日本弁護士連合会


 本来、予備試験制度は「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者」を対象としていましたが、司法試験受験資格を得るために法科大学院のバイパスとして利用される側面が強まっているのが現状です。


 これに対し、受験資格の制限や制度自体の廃止を求める意見などもありますが、政府としてはそれによって法曹志願者自体が減少することを懸念し、予備試験制度については、当面は現状のまま維持する方針のようです。


予備試験合格者の採用状況について

 予備試験合格者を対象とする採用の現場はどうなっているかと言うと、法律事務所を中心に「予備試験合格者=優秀層」という認識が定着し、中でも5大事務所(西村あさひ、アンダーソン・毛利・友常、TMI総合、長島・大野・常松、森・濱田松本)をはじめとする上位事務所は、予備試験合格者向けに事務所説明会やインターンを実施するなど、積極的な採用活動を展開しています。
 5大事務所の69期採用においては、実に約4割の新卒が予備試験合格者でした。


■ 5大事務所の69期新人弁護士の出身法科大学院別人数と割合
法科大学院西村あさひアンダーソン・毛利・友常森・濱田松本TMI総合長島・大野・常松5大事務所全体
予備試験15101451761 (39.1%)
東京102095751 (32.7%)
慶應義塾8211113 (8.3%)
早稲田400149 (5.8%)
一橋102047 (4.5%)
京都122106 (3.8%)
その他401229 (5.8%)
総計4334291535156 (100.0%)

■ 5大事務所の69期新人弁護士のうち予備試験経由の入所者の出身大学院別人数と割合

大学西村あさひアンダーソン・毛利・友常森・濱田松本TMI総合長島・大野・常松5大事務所全体
東京6652928 (45.9%)
慶應義塾5042516 (26.2%)
中央231017 (11.5%)
早稲田012014 (6.6%)
京都000011 (1.6%)
一橋100001 (1.6%)
その他102104 (6.6%)
総計15101451761 (100.0%)

 *5大事務所所属弁護士のうち「予備試験合格者」と「法科大学院中退」等の予備試験合格推定者を予備試験合格者とみなして算出(ジュリスティックス調べ)


 予備試験制度が発足して早7年が経ちます。一昨年度、弊社が文部科学省から業務受託した「法科大学院修了生の活動状況に関する実態調査」において修了生、実務家弁護士の方々にインタビューを行った際、予備試験について下記のような意見が聞かれました。


「司法試験対策と法科大学院としての教育のバランスの問題については、試験制度と LS 制度を一緒に考えていかないと駄目。現在は予備試験もあり、事務所は法科大学院に行かない予備試験の人も採用しており、方向性がばらばらになっている」


「予備試験については、当初はお金やルートがない人のためものであったが、現在、優秀人材は予備試験を使うなどバイパス 的なものになっている。法科大学院の意義・意味が薄れているのではないか。再整理する必要があると思う」


「司法修習時代に予備試験で受かった人と接する機会があったが、自分の中で組み立てた考えが正しいと思い込み、議論し合うのを避ける傾向にあった。あくまでも自分の意見を曲げない、崩さないため、柔軟性が低いと感じた」


「予備試験合格者の評価が高まる一方、法科大学院に行った人が単なる修了生=予備試験未合格者として評価が落ちるのはよくない」


「仕事で修了生と関わることもあるが、予備試験上がりの修習生がとりわけ優秀かというと決してそんなことはない」


「仕事をやらせれば(修了生と)あまり変わらないが、ちょっとした目配りの度合い、つまり人間関係構築において予備試験組が劣る傾向があるようだ」


「本来、弁護士は人間関係の中で求められる職業だが、それを理解しておらず、知識や自分たちの処理結果で評価されると思い込んでいる。実際にはそうではなく、依頼者が求めていないものであれば何の価値もないということを理解できないまま、自分が認められず、否定されると感じてしまっている。予備試験組にはそういう困ったところがある」


*参考:平成27年度 文部科学省「先導的大学改革推進委託事業」法科大学院修了生の活動状況に関する実態調査(株式会社ジュリスティックス受託)


 本調査においては、対象が法科大学院修了生とその採用者が中心であったため、予備試験合格者にインタビューする機会が得られず、残念ながら予備試験についてはあまりポジティブな意見が聞かれませんでしたが、当然ながら上記事例はごく一部であり、大変優秀な予備試験合格者も大勢いらっしゃいます。


 弊社が業務上やり取りさせていただいている採用者からも「難関試験を突破してきただけあり、優秀な人が多い」という声があったり、ある渉外系事務所の弁護士からは「知識はあるが、コミュニケーション能力に欠ける」「実務ではソクラテスメソッド(双方向授業)で訓練された修了生の方が優る」という声もあったり、予備試験合格者の評価は賛否両論様々です。


予備試験と法科大学院

 企業においては、予備試験合格者について法律事務所の採用活動のような特段の動きは見られませんが、法律事務所が予備試験経由での合格者を採用する場合、予備試験制度の構造と受験者の特性上、法律問題の議論の経験値やビジネス領域に関する知識が少なくなる傾向にあります。
 そのため、主たる採用者である大手法律事務所が、どのような教育方針・体制でフォローしていくか、というのが採用における今後の課題のひとつになるでしょう。


 また、当の予備試験受験者からは「本当に法科大学院に進学するお金がない」「学部在学中に受かれば法曹を目指すが落ちたら諦める」というような制度本来の趣旨に沿う声もありますが、残念ながらどちらかと言うと、「受かったら法科大学院に行く時間と費用を削減できる」「法科大学院在学中に合格したらすぐに中退する」「事務所など採用側へのアピールになる」といった、制度の趣旨とは真っ向から対立する意向が受験者の大半を占めているのが実情のようです。


 費用や時間に関する話題が中心になりがちですが、法科大学院について予備試験受験者からは「法律問題について同級生や教授と色々と議論ができる」「リサーチのノウハウやビジネス領域について学ぶことができる」「法科大学院だと縦や横のつながりができる、予備試験組はそういったネットワークができない」というような趣旨の、比較的ポジティブな意見が聞かれます。


 特に同窓生や教授の方々とのつながりというは、社会人になった後の実務においても有用であり、予備試験受験者から見ても魅力となっているようです。また、予備試験受験者よりも授業の中で法律問題に関する議論を多く交わすことで一定コミュニケーション能力が磨かれる、というようなところは、法科大学院が今後、入学志願者を増やす上でアピールするポイントになってくるかもしれません。



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