レポート[report]

2017.
2.15

ジュリスティックス通信 2017.2

ジュリスティックス通信 2017.2

■INDEX ■

[1] 69期司法修習終了者の就職状況調査
[2] 2017年全国法律事務所/インハウスローヤーランキング
[3] 大阪大学「法学部生のためのキャリアデザイン」レポート

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[1] 69期司法修習終了者の就職状況調査

 ジュリスティックスでは、2017年1月末時点の69期司法修習終了者の就職状況を、公開されている情報をもとに調査しました。

 68期1,810名、69期1,850名と両年の司法試験合格者数が、1,800名台と、それまでの司法試験合格者数の約1割減と新人弁護士の供給が少なくなり、また、リーマンショックからの経済回復による弁護士業務拡大に伴い新人弁護士採用意欲が高まるという相乗効果により新人法曹の就職事情は改善し続けています。


 特に、その中でも優秀人材については内定時期が早まり、弁護士会から会員に対して司法修習開始の翌年2月末までは内定を抑えるよう通知が出される事態になっています。こうした良好な就職状況にもかかわらず、昨年の司法試験合格者数は、1,500名台へと大幅に減少しました。


 1.69期司法修習生の就職状況 ~法律事務所を中心に就職は好調~
 2.69期新人弁護士の事務所採用状況 ~債務整理系法律事務所の採用拡大~
 3.事務所採用人数別の分布区分と弁護士会別登録人数 ~継続する東京一極集中~
 4.69期企業及びその他法人の採用一覧・採用人数 ~女性組織内弁護士の活用拡大~


■ 69期司法修習終了者の就職状況調査



[2] 2017年全国法律事務所/インハウスローヤーランキング

 今年も全国の法律事務所について所属弁護士数(外国法事務弁護士を含む)を調査しました。

 5大事務所は上位3事務所は昨年と変わらず、TMI総合法律事務所が第3位を維持し、昨年第5位だった長島・大野・友常法律事務所が、森・濱田松本法律事務所と入れ替わり第4位になりました。5大事務所全体の採用数は、昨68期が154名でしたが、69期は156名とほぼ横ばいとなりました。


 昨年初のトップ10入りを果たしたベリーベスト法律事務所が、第10位から第7位へと躍進しました。同事務所は新人弁護士の採用数でも、西村あさひ法律事務所に続いて42名と第2位、所属弁護士数の昨対比増加数では第1位となっており、急速に事務所規模を拡大させています。

 また、既に「ジュリナビ69期司法修習終了者の就職状況調査」で報告の通り、同事務所以外にも、アディーレ法律事務所、弁護士法人ALG&Associates、弁護士法人心などの新興系法律事務所の新人弁護士採用数増加が目を引く結果となっています。


 この他に注目される点として、いわゆる大手会計士事務所関連のEY弁護士法人及びDT弁護士法人が、それぞれ200位ランク外から161位にランクインしています。海外では大手会計士事務所関連の法律事務所が存在感を増してきており、この両事務所の急速な拡大はまだ規模的に小さいものの、リーガルマーケットの新しい動きとして注目されます。


 全体としては、上位20事務所が所属弁護士数50名に達した他、上位200事務所の東京に占める割合が微増しました。法律事務所の組織化への動きは一部を除き、直近、法曹人口が相当数増加したものの極めてスピードが遅い印象です。来年の70期は、司法試験合格者数が1,500名台に大きく絞り込まれる中、特に業容を拡大しつつある事務所の採用状況がどのようになるのか注目されるところです。その他詳細は下記リンク先をご覧ください。


■ 2017年全国法律事務所ランキング200


 また、今年は初めて、法律事務所ランキング以外に、全国の企業・官公庁・地方公共団体・その他団体に所属するインハウスローヤー(組織内弁護士)の所属数を調査しました。


 企業は、金融、商社が特に弁護士の採用に積極的で、続いて大手通信キャリア、大手メーカーなどが毎年継続的に新卒弁護士の採用を進めています。この数年、上場企業を中心に、グローバル化対応、社内コンプライアンス・ガバナンス整備、契約法務の内製化などのために業界・業種を問わず、弁護士・法務人材へのニーズが高まっており、その流れは今後も続いていきそうです。また、上場企業のグループ会社、中小企業、外資系企業の日本法人などにも、1人目の弁護士採用が広がりを見せており、今後、法務組織を整備、拡充していこうとする動きが感じられます。


 内訳を見てみると、2017年1月調査時点で1,985名だったインハウスローヤーのうち、1,755名が企業に在籍していますが、うち50期以前の弁護士の割合は約25%、60期以降の法科大学院修了生の弁護士が約75%となっており、若手弁護士がインハウスローヤーの大半を占めています。


 ある程度法務組織の基盤のある、または既に弁護士がいる企業は、法務組織の拡充のために新卒や60期代の若手弁護士を採用するケースがよく見られます。まだ、弁護士がいない、あるいはこれから法務組織を立ち上げようとする企業の場合は、現在の法務担当者のサポート、将来の法務組織を引っ張っていく人材として若手弁護士を採用したり、今すぐ法務組織のトップとして50期以前のベテラン弁護士を中途採用したり、様々なケースがあります。


 官公庁では、任期付公務員として所属していることが多く、3~5年程度の業務を経て、元の所属先に復帰したり、官公庁での経験を活かして別業種に転職するケースなど様々です。一方、地方公共団体では、官公庁と同じく任期付公務員として所属している自治体も多いですが、近年では、行政における法務対応のために、明石市役所のように積極的に弁護士を採用している自治体も見られるようになってきました。


 近年では、弁護士の就業先の多様化が進み、特にワーク・ライフ・バランスを検討する女性弁護士を中心にインハウスローヤーになる弁護士も増えていますが、合格者が1,500名台まで絞り込まれる来年の70期において、新卒のインハウスローヤーがどこまでシェアを広げるか、要注目です。


■ 2017年全国インハウスローヤーランキング200



[3] 大阪大学「法学部生のためのキャリアデザイン」レポート

 一部のメディアや弁護士が流布する誤った情報や認識が広がっている昨今の状況を改善するためにも、ジュリナビでは、今年から各大学と協力して、法科大学院新入生や法学部生向けに、キャリアセミナーを開催していきます。


 本セミナーでは、公的な情報をもとに作成した客観的データを中心に、「修了生の就職マーケット情報」を説明し、業界の全体感や動向を把握してもらったうえで、個別具体的な「法律家のキャリア事例」などを紹介し、法律業界の正しい情報とキャリア形成のための知識・能力を知ってもらうべく、情報提供しています。


 今回、その1回目として、大阪大学にて「法学部生のためのキャリアデザイン」と題し、学部生向けキャリアセミナーを開催しました。


 4月には、首都圏を中心に複数の法科大学院で、新入生向けのキャリアガイダンスを予定しています。今後は、法科大学院生・修了生だけでなく、プレロー(学部生・高校生)に 情報を提供しながら、彼らと接点を持つことで、法律事務所や企業などの求人者側にもより多くの情報提供、より良い採用活動支援ができるよう努めて参ります。


■ 大阪大学「法学部生のためのキャリアデザイン」レポート



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