レポート[report]

2017.
3.8

TOP50法律事務所成長力分析

TOP50法律事務所成長力分析
 ジュリナビは、2012年以来、所属弁護士数上位200事務所ランキングを毎年行っています。閉鎖的で変化の乏しい弁護士業界ですが、2004年法科大学院制度導入後の法曹人口の増加は、確実にこの業界に市場圧力を与え、ほとんど進まなかった法曹界の垣根を超えた企業法務や行政分野への法曹人材の流入も進み始め、既存の弁護士業界にも影響を与えています。

 しかし、社会に対し情報開示のない弁護士業界につき外からこうした内情を一般人が知るのは困難です。リーガルサービス利用者や就職を検討する修了生からは、法律事務所やリーガルマーケットについて客観的事実の裏付けのある情報や信頼性の高い情報が求められるようになってきています。法律業務先進国のアメリカでは、80年代以降、法律事務所を含め弁護士業界にかかわる様々な情報が豊富に市場に出回るようになり始めましたが、日本の弁護士業界の情報開示の現状は、アメリカに遅れること約30年といった状況です。

 そこで、ジュリナビとしてこれまでに上位200事務所ランキングで収集したデータをもとに過去5年間を振り返り、中上位規模の法律事務所の成長を分析して、社会に開示することにしました。もちろんジュリナビが入手できる弁護士業界に関する公開情報は限られていますが、経年的に蓄積した法律事務所の公開情報をいくつかの切り口で分析することで弁護士業界のあり姿をいくらか明らかにすることは可能であると言えるでしょう。

 ジュリナビ法律事務所ランキングは、上位200事務所を対象としていますが、今回の分析対象としてはあえて上位50事務所に絞りました。日本の弁護士業界の現状では、上位200位といっても国際的に見て組織的運営されているというより、個人経営の事務所に近いものも多く含まれてしまい、規模があまりに小さくリーガルマーケット変化の客観的分析対象として必ずしも適切ではないと考えられるためです。
 また、この上位50事務所をその特性ごとに大きく5つのカテゴリーに分け、それぞれの特性の集団ごとにこの5年間の動きを調査しました。日本では上位50事務所と言っても英米のマーケットとは異なり、その業務内容や顧客層は必ずしも一致していません。単純な比較は誤解を生むため、できるだけ同種の事務所をまとめて比較することとしました。

 特に、この5年間に的を絞ったのは、①司法制度改革の下、法科大学院からこれまでにない毎年2,000名規模の法曹人材の供給が続き、更に、彼らが実務経験を積み、日本の法曹人材の中核を形作るようになってきた時期がこの5年間であるためです。こうした新しい母集団である彼らの実務での活動が、上位50事務所の組織変化にも反映していると推測されます。ちなみにこの5年間では上位50事務所の所属弁護士数増加率の平均は約24.8%で、全国レベルでは約22.9%でした。

 また、②リーマンショックは世界的規模でリーガルマーケットにも影響を与え、業務の停滞と縮小を生みました。更に、世界的に見てリーマンショックを契機にリーガルサービスの最大需要家の企業がリーガルコスト削減(特に外部弁護士費用)に走り、法律事務所の選別を強化したため法律事務所間の競争が激しくなってしまいました。日本にもこの傾向は及びましたが、ようやく景気がリーマンショックから回復し、リーガルマーケットも復調してきたのがこの5年間です。こうした波に乗って業務拡大してきている事務所と回復しきれない事務所との差も大きくなっており、こうした変化も認められるのがこの5年間であると考えられるでしょう。

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