レポート[report]

2017.
2.10

大阪大学「法学部生のためのキャリアデザイン」

大阪大学「法学部生のためのキャリアデザイン」
 毎年12月に司法修習終了者の弁護士一括登録があります。一括登録時には、司法修習終了者の約10%が裁判官と検察官、60%強の人が弁護士登録をし、20%強の方々は「未登録者」となっているのですが、このとき、官公庁や地方公共団体に就業する人は、12月の一括登録時点ではほとんど弁護士登録をしません(69期は0名)。また、企業に就職する人も同様に、1月入社、4月入社が一般的であり、そのタイミングで弁護士登録をする人が多いため、12月の一括登録時点ではほとんど弁護士登録をしません。つまり、12月の一括登録時には官公庁・地方公共団体・企業に就業予定の人たちの大半「未登録者」に含まれています。
 ジュリナビでは、毎年定期的に司法修習終了者の弁護士登録状況を調査していますが、司法修習を終えた12月の一括登録時点で弁護士登録をしていない人たちも、半年後の6月時点ではそのほとんどが弁護士登録をし、法律事務所、企業、公的機関、その他団体のいずれかに就業しています。日弁連の登録情報を確認する限り、メディアで言われるような「弁護士の就職難」は見えてきません。
 にもかかわらず、メディアや一部弁護士の方々はそのことを知ってか知らずか、この「弁護士登録をしていないだけの就業予定者」が含まれている、一括登録時の「未登録者」数を引き合いに出して、「弁護士の就職難」を謳っているのです。

 一部のメディアや弁護士が流布する誤った情報や認識が広がっている昨今の状況を改善するためにも、ジュリナビでは、今年から各大学と協力して、法科大学院新入生や法学部生向けに、キャリアセミナーを開催していきます。
 本セミナーでは、公的な情報をもとに作成した客観的データを中心に、「修了生の就職マーケット情報」を説明し、業界の全体感や動向を把握してもらったうえで、個別具体的な「法律家のキャリア事例」などを紹介し、法律業界の正しい情報とキャリア形成のための知識・能力を知ってもらうべく、情報提供しています。今回、その1回目として、大阪大学にて「法学部生のためのキャリアデザイン」と題し、学部生向けキャリアセミナーを開催しました。

・弁護士の就職って実際どうなの?
・法学部卒のキャリアがよく分からない
・企業と公務員どちらに行くべきか…
・弁護士と会社員の年収はどれくらい違うのか
・大学院は行った方が良い?
・法律はビジネスで役に立つの?
・文系と理系はキャリアにどう影響するのか

 上記のような学部生の質問・疑問にお答えすべく、第1部では公的データをもとにした法科大学院修了生、司法修習生、弁護士の就業状況などマーケット情報がどのように変化しているのかを説明し、弁護士や法務人材のキャリアが多様化している状況を紹介しました。続く第2部では、コンサルタントが実際にお会いした弁護士の具体的なキャリア事例を複数紹介し、良いキャリアを築くために必要な知識や能力などを説明しました。


 (※資料一部抜粋 司法修習生の進路状況をはじめ、弁護士・法務人材のマーケット情報を紹介。)

 参加者アンケートでは、学部生ということもあって、法曹への意識は個々の差が見受けられましたが、参加した学生のほとんどは「司法試験合格→弁護士→法律事務所」というイメージが強かったようで、法律事務所以外の業種にも弁護士が進出し、キャリアが多様化しているという状況に驚いている様子で、
・「企業内弁護士が多くなっていること、いまだ企業法務の人材が足りていないこと、司法試験合格後のキャリアが様々であることを知ることができた」
・「法律はベースラインとして当然必要であって、法律+英語などがあるとキャリアが広がると感じた」
・「今までイメージしていた以外の道も開けていて、法曹と言っても様々なキャリアを積める可能性がある」
・「弁護士の多様性について知ることができて良かった。もっと公務員や一般企業でのキャリアについても知りたかった」
・「今の日本の経済状況からロースクールひいては弁護士が求められている事情が分かった」
など多くの感想をいただきました。

 引き続きジュリナビでは、同様のイベントの開催を企画しており、4月には首都圏のいくつかの法科大学院で新入生向けのキャリアガイダンスを実施予定ですので、随時レポートして参ります。

大阪大学法科大学院ホームページ http://www.lawschool.osaka-u.ac.jp/