レポート[report]

2016.
12.13

「訴訟ファンド”Litigation Funding”セミナー」

「訴訟ファンド”Litigation Funding”セミナー」
 2016年12月2日(金)に、弊社にて「訴訟ファンド“Litigation Funding”セミナー」を開催致しました。弊社と縁故のある上場企業の法務御担当者を中心に、大学の教員、権利保護保険の研究をされている弁護士など、様々な業界から多くの方々にご参加いただきました。

 訴訟当事者以外の第三者が訴訟費用の資金提供をする「訴訟ファンド」は、全く新しい形のコーポレートファイナンスで、これまで変化の少なかった民事訴訟制度と訴訟慣行のパラダイムシフトを引き起こすことが予想されています。
 企業においては従来の法務部門のコストセンターとしての性格を変容させる可能性、また、法律事務所においては新しいフィーアレンジメントとしてビジネス機会を生む可能性が指摘されており、まだ日本国内ではあまり認知されていませんが、今後、企業の国際仲裁を中心に急速に普及する可能性があります。

 本セミナーは2部構成で、第1部にて弊社代表取締役会長の鈴木より、「訴訟ファンド」の概要、活用のメリットとデメリット、また、今後日系企業における活用の注意点などを説明し、第2部にて今「訴訟ファンド」の最も大きな市場であるニューヨークで活動している、アローヘッド・キャピタル(ARROWHEAD CAPITAL)の創設メンバーであるウィン・モリス氏にファンドの組成プロセス、契約構成、法律上や法曹倫理上の問題点の克服、その他実行上の問題点などを、具体的な事例を交えながらご説明いただきました。

「訴訟ファンド」は、例えば、個人が「訴訟を起こしたいけど、訴訟費用がない」、日系企業が「国際訴訟を受けたが、対応できる専門の弁護士が分からない」等の場合に、訴訟費用をヘッジファンドや個人投資家から集めて訴訟費用をノンリコースで提供、また、弁護士費用を用意(場合によっては弁護士を紹介)し、判決・和解から賠償金が得られた場合にその一部を報酬として請求するという仕組みです。
 これにより、今まで裁判を起こしたかったけれども資金的な問題でそれが叶わず泣き寝入りしていた個人や、海外訴訟の弁護士管理や訴訟長期化によるコスト面での問題を抱えていた企業は、そのような問題を解決することが可能になります。また、法律事務所としても、クライアント(原告)から安定してフィーを獲得することができるため、万全の態勢で訴訟に臨むことができます。

「訴訟ファンド」が普及していく中で、同ファンドを利用する国際訴訟や仲裁に日本企業が巻き込まれる可能性は高まってきます。「訴訟ファンド」は報酬の見込める訴訟案件を選定して、各種費用を提供するわけですから、そういう点では原告の背後に同ファンドが付いている=原告の勝訴の可能性が高い、という見方ができるため、今後、訴訟における同ファンドの存在感は際立ってくるでしょう。
 そのような状況を迎えるより前に、特に日系企業の法務担当者は、一定知識を持っている必要に迫られてくるものと思われます。弊社も引き続き情報を収集し、提供していくよう努めて参ります。
  -ウィン・モリス氏(Wynne Morriss)プロフィール-

【学歴】
ハーバード・ロースクール(J.D.)
シカゴ大学(B.A.)、(M.A.)

【資格】
ニューヨーク州弁護士

【経歴】
1988年から1995年にかけて、ニューヨークでシドリー・オースティン法律事務所とスキャデン・アープス法律事務所で実践的な企業・ストラクチャード・ファイナンス弁護士を務める。
その後、ベンチャーキャピタルファンドのゼネラル・カウンセルとして財務保証保険会社CapMAC、MBIA、Syncora Guarantee(旧XL Capital Assurance)で13年以上の上級法務部門を歴任。
アローヘッド・キャピタルをマーク・ジェイコブス氏と共同で設立、最高執行責任者(COO)とゼネラル・カウンセルを務める。

ARROWHEAD CAPITAL ホームページ http://arrowheadcapital.com/